『いつからか、君が特別だった』


***

一時限目。

講義が始まる直前、
急いで莉央ちゃんと後ろのドアから入ると、
斜め前の席に湊くんと蓮くんの姿が見えた。

(あ、湊くん……)

湊くんと目が合うと、
彼はパッと顔をほころばせて
小さく手を振ってくれた。

私も嬉しくなって、
胸の奥をキュッと掴まれたような感覚のまま、
小さく手を振り返す。

講義中、
教授が黒板に向かっている隙に、
湊くんが振り返って声をひそめて話しかけてくれた。

「紗季ちゃん、今日のサークル、何撮るか決めた?」

「あ、湊くん。ううん、まだ決めてないの」

教室内で、
教授に見つからないように
ノートで口元を隠しながらコソコソ話す時間は、
なんだか二人だけの秘密みたいでドキドキしてしまう。

「じゃあ、一緒にまた探そっか?」

「うん! 楽しみだね」


たったそれだけの約束なのに、

なんだか講義中の退屈な時間が

急にキラキラして見え始めた。