『いつからか、君が特別だった』


今日の講義が終わり
集合場所である近くの大きな公園へ着くと、
やわらかな日差しと澄んだ風が心地よかった。

うちの写真サークルは、
来たい時に来て
好きなものを撮って帰るような、
かなりゆるいサークルだ。

「今日は各自、秋っぽいものを自由に撮って集まろうか〜」

代表の相変わらずゆるい挨拶で、撮影会がスタートする。

「湊くん、今日の貸出用カメラ、もう全部出払っちゃってるみたい」

「あ、ホントだ。俺もスマホでいいや。気楽に楽しく撮ろ?」

「うん!」

そう言って嬉しそうに微笑む紗季ちゃんの隣に並んで歩き出す。

気負わずに話せるこのゆるい雰囲気が心地よくて、自然と会話も弾む。

レンズ越しじゃなくても、

紗季ちゃんと一緒に歩いて、

同じ風景を眺めているだけでなんだか無性に楽しかった。



──このときはまだ。


自分の気持ちが少しずつ、

けれど確実に変わっていることに、

俺はまったく気づいていなかった。


湊side end