帰り道、人目の少ない路地裏でふと足を止め、瑠華を引き寄せて抱きしめる。
「わっ……幸平?」
「……ごめん。急に抱きしめたくなった」
「ふふ、いいよ。もっと強く抱きしめて」
すっぽりと腕の中に収まる、華奢で温かい身体。
すれ違っていた9年間を取り戻すように、俺たちは何度も手を繋ぎ直し、言葉を交わし、確かめ合うようにキスを重ねた。
求められるがままに重ねるのではない、互いの愛おしさが溢れ出した本当のキス。
触れ合うたびに、身体の芯から幸福感が溢れ出していた。
放課後、俺たちはあの公園のジャングルジムの上に座り、沈みゆく夕日を二人で眺めていた。
あの日、雨の中で泥まみれになりながら泣き叫んだ場所。
今では、俺たちの絆を解き明かしてくれた大切な場所に変わっている。
「幸平、まだ……昔のこと、気にしたりしてる?」
ふと、瑠華が俺の顔を覗き込んできた。
少しだけ不安そうな、けれど優しさに満ちた瞳。
「ううん……ゼロになったわけじゃないよ。俺が付き合ってきた人たちを傷つけた事実も、瑠華を遠回りさせた過去も、消えるわけじゃないから」



