君の手を掴むための遠回り


​「幸平……っ! 幸平……っ!」


​激しい雨音を切り裂いて、遠くから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

濡れた前髪の隙間から顔を上げると、そこにいたのは────

傘もささず、全身ずぶ濡れになりながら公園の中を走り回る瑠華の姿だった。


​(なんで……どうしてここに……っ!?)


​学校を早退した俺を探して、追いかけてきてくれたのだとすぐに分かった。

泥だらけの靴で俺を見つけ、なりふり構わず駆け寄ってくる瑠華。

その懸命な姿を目にした瞬間、胸の奥に溜まっていた真っ黒な自責の念が激しく爆発した。


​「来るな……っ! 近寄るなよ瑠華……っ!」


​俺は膝を抱えたまま、喉が千切れるほどの金切り声で叫んだ。


​「俺なんか捨ててくれよ! 最初から出逢わなかったことにして忘れてくれ! 俺は……俺はお前の思ってるような綺麗で優しい幸平なんかじゃないんだ! 約束も守れなくて、一人になるのが怖くて、いろんな奴と付き合って……最低なことばかりしてきた、どうしようもない人間なんだよ……っ!」


​雨と涙でぐちゃぐちゃになった顔を歪め、情けない本音を雨の中に曝け出す。

言葉を吐き出すたびに胸が引き裂かれそうに痛むが、止めることができない。