君の手を掴むための遠回り


バタン、と激しく閉まったドアの音だけが、誰もいない静まり返った教室に空しく響き渡る。

​一人取り残された教室で、俺はガタガタと震える手で自分の顔を覆い、そのまま冷たい床に崩れ落ちた。


​(全部……俺のせいだ……っ)


​もう、誰かで心を麻痺させる逃げ道すら失った。

一人になる恐怖に負け、嘘の優しさで塗り固めてきた俺の卑怯な選択が、目の前の彼女の心を切り裂き、自分自身を泥沼に陥れ、そして何より────
世界で一番大切にしたかった瑠華をも深く傷つけ続けていたのだ。

​翌日、俺は早退届を出し、吸い寄せられるように学校を飛び出した。

重く垂れこめた冬の曇り空の下、足が向かったのは、あの9年前の夏に瑠華と離れ離れになった思い出の公園だった。

​冷たい北風が吹き抜ける中、俺は誰もいないジャングルジムの下で冷たい地面に膝をつき、一人で小さく丸くなった。


​(全部壊した……俺のせいで、全部……)
​

自分の泥まみれの過去と、取り返しのつかない罪悪感に押し潰されながら、俺は冷え切った暗闇の中でただ震えていた。