君の手を掴むための遠回り


​そのまま突入した夏休み。

罪悪感と自己嫌悪で胸が潰れそうな俺を置き去りにしたまま、季節だけが容赦なく過ぎていく。


​8月の上旬、俺は彼女に誘われるまま、街の中心部で開かれる夏祭りへと出かけていた。

華やかな七夕飾りが頭上を彩り、露店の香ばしい匂いと人々の熱気が街に満ちている。

浴衣姿の彼女は嬉しそうに俺の腕に抱きつき、屋台を巡りながら微笑んでいた。


​「神楽くん、りんご飴買おうよ! あとで花火も見ようね」

​「……ああ、そうだね」


​引きつった笑顔で返しながらも、俺の心はここに存在していなかった。

混雑する人波の中で、無意識に探してしまうのは────遠くから見かけることすらなくなった、瑠華の姿だった。


​(もし、俺が約束を守っていたら)

(もし、一人になる怖さに負けず、瑠華だけを待っていたら)

​(今、俺の隣で浴衣を着て笑っていたのは、瑠華だったんじゃないのか……?)


​太鼓の重低音が腹に響き、威勢のいい掛け声とともに鮮やかな山車が街を練り歩いていく。