「か、彼女さんとかに悪いよ…!」
「…………」
「え!?な、なに!?」
桜子をジーッと真顔で見る智也の視線に気づくと、びっくりした顔を見せる桜子。
智也は肩を落として撫でいた手を離した。
「……」
「え!?え?何?お、怒ってる?」
「…いや…」
「嘘!智くん拗ねるといっつも見てきたもん!」
「…じゃあ、拗ねてるから映画教えて」
歩き出す智也は、ついてこない桜子へ振り返る。
「桜子」
じっと見つめる智也の真っすぐな目が合うと、桜子の足はすくんでしまった。
「…俺は誰ともそんな関係じゃない。彼女はいない」
「嘘だ…あんなにモテてて…いない方がおかしい!」
「……なんでそうなる…。もう何もしないから」
智也がポケットに手を入れる様子を見たら、桜子はゆっくりと足を踏み出して、智也のそばにいった。
夜風が熱くなっている桜子の頬を優しく冷やす。
「ほ、ほんとに…いない…?」
「あぁ。桜子に嘘はつかない」
「……じ、時間…あるよ…」
視線を逸らしながら小さく答える桜子の頭に、智也はポンと手を置いた。
「コンビニで飲み物買う」
「そんなに長居しないよ?」
「…飲み物が切れてるから」
そして、そのまま並んで歩いていくと、大通りに出てコンビニに寄った。
カゴを持った智也は、店内を回って飲み物と菓子袋をテキトーに取っていく。
「智くん…が、食べるんだよね?」
「あぁ。ついでに桜子も食べるだろ」
「えぇ!?」
「スイーツ系もいるか?エクレア好きだったろ?」
言いながらティラミスをカゴに入れると、レジへ行ってしまった。
桜子もあとについて、バッグから財布を取りだそうとしたが、すぐに智也の筋張った腕と手の甲が止めてきた。



