私の相談をなつきは親身になって聞いてくれた。


“やめなよ”って、

“諦めなよ”って言わなかった。


それだけで、なんだか嬉しかったんだ。



だけど、なつきが彼のことで悩んでいても、私にはかける言葉がいつも見つからなかった。


もし、全てを最初から知っていても、きっとなにも出来なかった。



ある日、私は彼の所属チームの発表で、彼の戦力外通告(解雇)を知る。

だけど、当然のように私には、なつきになにも出来なかった。


なつきは辛かったはずなのに、それでも――



いつだって、背中を押してくれたのはなつきだった。


私はいつか、心からのありがとうを言いたい。