最弱総長様の特訓相手をすることになりまして

なのになのにぃっ!!

最弱とやらの総長さんに私の1年間を壊されてたまるかー!

私は爪が食い込むほど拳を強く握る。


「分かったな?光」

ひ、あ、そうだった。

まだ話してる途中なんだった……。


「光ちゃん、大丈夫?光ちゃんは大事な大事な特訓相手なの、しかも、相手は皇家のご子息よ。失礼の無いように」

す、皇……っ!?

苗字からして、高貴すぎない……?

でも、総長を務めているって……。


「ええ、承知いたしました。懸命に励みます」

嘘、嘘だよっ。


「その意気だぞ、光!行ってらっしゃい〜」

あ、でも、聞いておかなくちゃいけないことがある。


「皇家と高嶺家は、何十キロメートルも離れていますよね。私にはとても歩ける距離ではありません。それに……、学校はどうするのでしょうか」


よし、言い訳できるっ……!

この調子でいけば、と希望の泉が湧く。


「いいえ」

く、空気の塊が落ちてきた。


「皇家は、お礼として、家庭教師と車とメイドさんを雇ってくれるらしいのよ」

「え、あ、そ、そうなんですかぁっ。ありがたい、ですねぇ」


「だろう。じゃあ、今日から行ってらっしゃい」


私は渋々家を出た。

「お嬢様あ!初めまして」

うわ、なんか元気な人が来た!

しかも、私、皇家みたいな名家のご令嬢じゃないんですが……。

「初めまして。高嶺光と申します。これからの1年間、よろしくお願いいたします」

「まあ、良い子じゃない〜!私がメイドです、よろしく!」


そして、私は皇家の邸宅に連れて行かれたのだった──。