生真面目騎士様に抱きしめられないと眠れない、とても都合の良い不眠症。

 掠れた声で聞いた私は驚いた。

 これまでは、朝だからルシウス様は少し早めに起きているのかもしれないと思っていたけれど、彼の目はぱっちりと開いていて眠そうな様子も見せない。

「……いえ。眠りましたよ。お気になさらず」

 小声の答えは、すぐに嘘だと気がついた。

 おそらくは、ルシウス様は私と同衾しつつ眠っていないのだ。私を眠らせるために、自分は眠っていない。

「その……ルシウス様は、眠っていない……ですよね?」

 そこで、彼は背中を何度か摩って安心させるようにすると、無表情が基本であったルシウス様は初めてそこで微笑んだ。

「ステラ様。さあ、目を閉じて。朝までもう少し、眠れますよ。僕のことは気にせずに眠ってください」

 背中を撫でられてうとうととした私は、安心感に包まれて目を閉じた。いつもの時間に起きて、ルシウス様は言葉少なに城へと出勤して行った。

 私はというと朝の身支度をしながら、これではいけないと考えていた。

 だって、このままではルシウス様が、私の代わりに不眠になってしまうもの!