生真面目騎士様に抱きしめられないと眠れない、とても都合の良い不眠症。


 私が眠れなくなったのは、突然だった。

 何か原因になるようなことなんて、何も思いつかない。

 本当にいつも通り過ごしていた、ある日突然。ベッドに入って目を閉じても、羊を何匹数えようが、睡眠することが出来なくなった。

 入眠法、睡眠薬……ありとあらゆる眠れると言われている方法を試したけれど、まったく眠れない。

 今はもう諦めて夜は、目を閉じているだけ。人は眠れないと、そのことだけが頭をまわる。ご飯も食べれないし私は眠りたいという欲求以外を、その時は捨ててしまった。

 ただただ、眠りたい。早く眠りたい。いますぐ眠りたい。そういう思いが頭の中をぐるぐる回る。

 そして、眠れなくなって三日が経ち、間の悪いことに訃報を聞くことになった。非常にお世話になっていた、叔父様のお葬式があることを知った。

 叔父様は高名な学者で王族の教師でもあり、姪の私のことをとても可愛がってくれた。学問に身を捧げ未婚のままで過ごして、娘同然に愛してくれていたのだ。

 そんな彼の訃報を聞いて、何もしないままに家にいたくない。行きたい……行くしかない。