普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!

 あの出来事がもうどうでも良いものと思えたからだ。

 そこで、私はふと気がついたのだけど『面倒な立場』というのなら、アルベルトほどに、面倒なことを背負わされた人はいない。

 父王は腐敗した政治の立て直しを計り、縁者全員を皆殺しにした人。そんな現王の跡継ぎという立場は、どれほどに重い何かを背負うことになるのだろうか。

 私なんかよりも、何倍も何十倍も、生きることが難しい人……けれど、それは全く見えない。

 いつも楽しそうに微笑んでいるように見えるし、纏う空気は常に穏やかだ。

 私とのことだって、すでに結婚してしまっているのだから『生意気を言うな』と、押し通してしまっても良かったのだ。

 ……けれど、離婚したいという私の希望を聞いてくれた。二年後には自由にしてくれると。

「踊ろうよ。ルリア。僕はダンスは得意でね。せっかくだから、君と一緒に踊りたい」

「はい……」

 優雅に手を引かれて私は踊った。アルベルトはダンスが上手かった。さっき起きた嫌なことなんて、すぐに忘れてしまったのだ。


◇◆◇


 結婚してから三ヶ月の間、私は夫アルベルトと上手くやっていた。