普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!

「それは、そうだろう。僕もいま初めて君へ伝えたところだ」

 落ち着いた態度でアルベルトは言い、私はそんな彼を見てイラっとしてしまった。

 まさか、身分を隠してこうして結婚するなんて……逆ならわかるけれど、身分を下げて結婚するなんて、きっと彼くらいしかいない。

 私は自分で言ってしまうのも悲しいだけど、周囲から美女やらなんやらと持ち上げられるようなアルベルトのような際立った容姿を持って生まれている訳ではない。よくいる茶髪茶目で、平凡な容姿だという自覚はあった。

 ……けれど、私の実家エルトン伯爵家は裕福で知られていて、財産を狙う男性によく言い寄られていた。アルベルトと結婚する際に持ってきた持参金は、彼の領地での税収二十年分を優に上回るらしい。

 それに、大金持ちで知られるエルトン伯爵家は恨まれたり狙われることも多く、誘拐されそうになったことだって十回では足りない。

 私は単にエルトン伯爵令嬢というだけで、毎日が気の抜けない日々だったのだ。

 そんな時に私の大好きな母方の伯父、サウザント辺境伯から薦められた縁談がこのエッセン伯爵アルベルト相手のものだった。