普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!

 どこか、諦めた表情だった。悲しそうに見える。聞き逃せない情報に、私は目を瞬いた。

「待って。アルベルト……私を妻にと、望んだの?」

 それは、初耳でこれまでに聞いていない情報だった。思わず唖然としてしまった私に、アルベルトは苦笑していた。

「言えないよ。王子の身分を明かせば、離婚しますの一点張りだから……条件で結婚したくないと言われてしまえば、何も言える訳もない。嘘をついていたと言われれば、その通りだ。僕ならば身分を明かして納得してもらい、愛を告げなければ意味はない」

「それは……その」

 それは、申し訳ない事をしてしまったと思った。私はただちょうど良い莫大な持参金付きの貴族令嬢なだけで、面倒な立場に選ばれたと思っていた。

 ……そういえば、結婚したあの夜。

 離婚するという結論に至るまでに自分の話を聞いてほしいと、アルベルトは何度か訴えていたような……ああ。もしかして、愛しているから結婚して欲しいと、あの時に伝えようと?

「うん。まあ、あの……父を持つ王子でね。しかも次期国王だ。無理をしなくていい……君との結婚には、折り合いはつけているつもりだから」