普通の貴族だと思って結婚したら、身分を隠して潜伏する王太子様でしたー!? ……離婚します!

 すれ違ったら、どうしようと思った。いつもは道を辿るだろうけれど、道を辿らなくても帰れるのだから……もしかして、今日に限ってそんな気分になったら。

「……アルベルト!」

 走っていた私は前から駆けてくる馬を見て、彼の名前を叫んだ。

 アルベルトは険しい表情だ。私の傍に来て、すぐに馬から飛び降りた。

「アルベルト! アルベルト……! 私っ……そのっ」

 息が上がって、なかなか話ができない。走るなんて子どもの頃振りだったのだから、それは仕方ない。

「ルリア。下がって。わかってる。僕に危機を教えてくれようとしたんだね」

 ……え……どうして? 私は不思議に思った。アルベルトは私がここに居る理由を、どうしてわかったのだろうと……。

 そして、彼が私を背に庇って、すぐにその理由が見えた。

 馬に乗った……あの、顔を隠した何人もの男たち。アルベルトの命を狙っていた、あの男たちだったのだ。

「ご案内。ご苦労様です。奥様」

「必死で走っていましたね……まさか、夫を殺す道案内をしてくれていたとは思いませんでしたが」

「まさか……素人の足音を聞き逃すとでも?」