『俺はあなたのような大人ではない。


ただ彩夏が好きで一緒にいたい。


それだけじゃ駄目ですか?

俺は大学出て一人前の医者になるには何年もかかる。

でも俺の隣には彩夏にいてほしい。


大学を卒業したら彩夏と暮らしたいと思う。


そして結婚式は出来なくても籍は入れたい。


彩夏を必ず幸せにするとは言い切れないかも知れない。


たけど彩夏と二人で幸せになりたいんです。』



彩夏の瞳から涙が溢れ出す。



啓太がそこまで考えていてくれたなんて、



私は嬉しかった。



向坂さんがいつも優しい顔に戻っていた。



『小沢も言えるんだな。おまえの固い決心を聞いて俺も安心した。』



俺の負けかな。



ああ、この俺が何で振られるんだよ。