翔と律は時々会っていた。
それはもちろん『Mint』のモデル2人のインスタグラムの配信のためである。
大抵、恋達の住む町に翔がやって来て、律と食べ歩きをして写真を撮るのだった。
「もうあかんね」
評判のピザ屋でサインをねだられた後、翔が店の中で呟いた。
「何がです?」
大食いでまだピザを食べている律が聞くと、翔ははあ、とため息をついた。
「恋が気になる。ワイ、恋の病や。恋の顔が見とうて見とうて死ぬ。」
「悪いけど恋は渡しませんよ」
律が言った。
「僕も恋です。僕が居る限り恋は渡しませんからね」
「いやな、ワイの方は、もう目処は付いとるんや」
「目処って?」
「ワイはもう恋の恋人やんね。ちょっと色々あってな。けど……」
「上野さん、超邪魔ですよね。死ねとまでは言わないけど」
「宗介が居るきに。今ワイ複雑や。もやもやするきに、なんか解消しとうて」
その時、ドアの向こうに、律は、美風の姿を見付けた。
「樋山さんだ」
「美風?」
「事務所の人に、学校アイドルの黒白王子の写真抑えて来てくださいって言われてるんだ。ちょっと行きましょう」
「ワイも。ワイのインスタにイケメン増やせちゅうて言われてる。了解」



