翔はしばらく狐の子を抱いたままスマホを見ながら歩いていた。
そこで物陰に入って自販機の裏まで来ると、翔は子狐を降ろし、
「解、恋」
と声を掛けた。
とたんに恋は人の姿に戻った。
「……」
「うわあ、ほんまに狐なんやね」
翔が口を開いた。
「興信所で調べたら、あやかし狐の末裔って載っとった。まさかほんまやと思わんきに、何やろうって思っとったんよ。呪文はネットで調べたんや。」
「……」
「ほんまなんやね」
それから翔は真顔で、
「それってバラされたくない秘密なん?」
と聞いた。
「お願い」
恋が言うと翔は即座に、
「嫌や。」
と一言。
そして翔は鼻歌交じりに言った。
「インスタグラムで拡散させる。SNSで大騒ぎや。狐の子、ヒトに変身してモデルにっちゅうて大爆発」
「……」
「条件飲んだらええよ、バラさんきに」
「……」
翔は恋の後ろの壁にてのひらを置いた。
「ワイと付き合いや。彼女になって。恋人になって。」
恋が驚いて翔を見上げるとまっすぐな目。
「どないする?。」
翔はにやりと笑うと、もう一度言った。
「インスタグラムに載せんで、僕」



