翔が向かったのはさっき撮影シーンで使ったばかりのアイス屋だった。
アイス屋はバスから少し離れた所にあり、青と白の庇を軒下に伸ばしている。
「お姉さん、ストロベリー、2つ」
サングラスをかけた翔が勝手に注文して、コーンカップのアイスを待つ。
さっきの撮影を見ていた人が混じっているのか、何人か首を伸ばす様にして恋と翔を見ている。
テーブルに着くと、恋達はアイスを食べ始めた。
恋より早くペロリとアイスを食べ終わった翔が、恋の方をじっと見ている。
「恋」
「なに」
「2人きりやね」
にっと笑った翔に、恋は困り笑い。
返事をせず恋が残りのアイスを食べようとした時だった。
突然、カメラのフラッシュが激しく焚かれて、恋は驚いて狐に変身してしまった。
撮影を見ていた何人かが集まって、一息に恋達にカメラを向けたのである。
翔は目をまん丸にして子狐を見ていたが、刹那、
「なるほどな」
と呟いた。
「嘘」
「信じられない」
翔はめちゃめちゃな騒ぎになり出した店を狐の恋を抱いて出ると、スマホをいじりながら、歩き出した。



