宗介の家では、恋が居ない間、宗介のお母さんと宗介が話をしていた。
ダイニングでお煎餅を食べながらお母さんが言う。
「恋ちゃんはライバル達の事はどう思ってるのかな。知りたいけど。」
リビングで煎餅を食べていた宗介が答える。
「知らないよ。そんな事より、雑誌モデルの件、どうにかなんないの。」
「あ、そうね、そうだったそうだった。パパの希望で、宗介も男の子の雑誌『light』の専属モデルになるのよね。」
「だるい。何で僕が。やる気ない。」
「樋山くんも打診されてて、恋ちゃんがそうして欲しいならやるって言ってるのよね。」
「そうそう。モデル繋がりあるから、恋がやるならって。」
宗介は言いながら煎餅を齧った。
「母さんは賛成よ。やった方が良いと思ってる。だって、あなたとっても綺麗なお顔してるんだし。女の子達イチコロよ。」
「嫌だ。顔で騒がれるの好きじゃない。どうせ顔しか見てないんだから。女子はおかしいんだ。」
「良いじゃない良いじゃない。恋ちゃん喜ぶと思うわよ。ぴったしじゃない。」
「樋山がやれよって言うと思うけど、僕はなんだかな。面倒くさいし、やっぱり気が進まない。」
「あっそうだ、『light』貰って来てたのよ。」
お母さんがいそいそと立ち上がって、チェストの上から雑誌『light』を持って来た。
お洒落な色や柄の男の子の服装、ディテールに拘った海外ブランド向けのページが続く。
「10代の中高生向けってあったけど、大学生でも着れるのが多いのよね。」
「大学……はお洒落で良いかもしれないけど、中高生は多少ださい方が普通なんじゃ。カッコつけてもガキの癖にって言われる歳だよ。」
「何言ってるのよ。お洒落なさいよ。せっかく可愛い顔に産んであげてるのに、台無しじゃない。」
「良いよ僕は。洒落た男なんてみっともない。女じゃあるまいし。おかしい。」
「良いわよ男の子がお洒落だって。男女差別よ。古い時代の要らない慣習よ。」
「まったくなんでこんな事になるかな。あーあ嫌だ嫌だ。面倒くさ。」
宗介は囓っていた煎餅を置くと、『light』ではない雑誌をめくり始めた。



