学校。朝のホームルーム前。
恋が教室に入って行くと、もう着いて美風と話をしていた理央が笑顔で声を掛けてきた。
「恋」
「あ、理央」
「聞いてないんだってね、まだ。樋山くんから。」
恋が美風を見ると、美風はちょっとだけ首を傾げた。
「何が?」
「別に急ぎじゃないんだけど、昨日は新田さんの声聞きたくて電話したんだ。出てくれなかったけど。黄崎がさ、」
美風はそこで言葉を切った。
「なんか、僕とか新田さんとか上野とか駒井とか呼んで、親衛隊でお茶会をしませんかって言って来てるんだよね。」
「お茶会?」
「発案者は新聞部らしいんだけどね、1回みんなできちんとお話してみませんかって言ってるんだって」
理央が言った。
「親衛隊の今後についてとか、正直な気持ちとか。そういうの、腹を割って話しませんか、だって。」
「僕は速攻拒否したんだけど、新田さんを饗す一環で、って言ってきてるんだ。」
それから、
「黄崎んちもリッチで豪邸なんだって。一度見に来てくれってさ」
「恋」
「宗介」
そこまで話して居た所で、鞄を置いた宗介がやってきた。
「上野くん。上野くんも行こうよ。黄崎さんち。」
「はあ?。なんで黃崎のうちなんかに。」
「親衛隊へのリクエストとか、何でも聞くって言ってる。一応、建前としては黒白王子と恋を饗すんだって」
「リクエストなら、僕は親衛隊の解散を申請するね」
宗介がきっぱり言った。
「邪魔でしょうがない。最近も減るどころか増えてる。写真隠し撮りされたり、新聞で騒がれるのはもうまっぴら。」
「僕も解散をリクエストするな。」
美風が頬杖を付いて言った。
「僕にとっても親衛隊は脅威だし邪魔だ。そうしてくれたら万々歳だけど、でも、多分聞かないだろうね。」
恋が曖昧に笑って、
「多分」
と小声で呟くと、理央が、
「ドンマイ!」
とケラケラ笑いながら言った。



