スーパーの扉の前に両足が一致したら、それが鍵だったように扉が開いた。歩く延長を止めただけで、扉が開いてくれた。中に入りたいけど自分でやらなくていいなんて、なんて楽ちんなんだろうか。
ただ、してくれるのはそこまで。ここにずっと棒立ちになっていても、何も進まない。今日の一日分を買うには、トマトだって手掴みで持つわけにもいかない、カゴもいる。
大事な部分って結局、自分でやる、やらされる感じがした。まあ、勝手にどんどんされても、か。
入り口の両脇にある積まれたカゴを目にして、重ねるために倒れたカゴの持ち手をつまんで持ち上げる、雑になったからか、勢い余って持ち手が元の場所に倒れた。そんなまごつきながら、こうやりたいのといわんばかりに、動作一つ一つにきちっと止めを入れながらやっていた。
今日は何にしよう。今日の夜と、明日の朝の分だ。カレーとサンドイッチにするかな。牛乳も切れそうかもな。
頭で献立を考えると、自然と足が動くようにはなってきていた。馴染みのスーパー。
野菜、パン、ハム、カレーのルーと牛乳。ヨーグルト。カゴにパズルゲームのように詰められていく。
三つあるレジを見渡して、空いている列を品定め。並んでいる人の人数と・・・カゴの中身の量、これ大事。
並んでいる間に、自分のカゴをみると、七割くらい埋まっていた。ちょっと生きるだけで、これだけ消費するんだと目の前の食材をみて、ふいに生きるって大変だな、と頭に浮かんだ。
ピッピッピッと、変わった雛が鳴いたような音なのか、自分の頭から体を検査か確認されているような音なのか。
音が止むのを待っていた。
「2,342円になります。」
支払いを済ませて、空いてるテーブルを探す。買った重さと手を下げる力のかけ方が合わずに、制御できずにカゴをテーブルに落下させてガッと音を立てた。カゴの持ち手の両方はなにかを払いのけるような仕草でそれぞれ広がった。
タンッ、タンッと小刻みにプラスチックの持ち手とカゴの端がぶつかる音がした。
会社鞄から、このスーパーの有料レジ袋をおにぎりのように畳んでいたのを取り出し、元の形へと広げる。サァザァサァ。
カゴの食材を見渡しながら、三秒見つめたあと、一つ一つ詰めていく。空気しか入ってなかったレジ袋が実態を帯びてきた。
元通りのカラのカゴを出口の仲間達の元へと返す。またな。
私は、出口で両足を揃えた。
(了)
ただ、してくれるのはそこまで。ここにずっと棒立ちになっていても、何も進まない。今日の一日分を買うには、トマトだって手掴みで持つわけにもいかない、カゴもいる。
大事な部分って結局、自分でやる、やらされる感じがした。まあ、勝手にどんどんされても、か。
入り口の両脇にある積まれたカゴを目にして、重ねるために倒れたカゴの持ち手をつまんで持ち上げる、雑になったからか、勢い余って持ち手が元の場所に倒れた。そんなまごつきながら、こうやりたいのといわんばかりに、動作一つ一つにきちっと止めを入れながらやっていた。
今日は何にしよう。今日の夜と、明日の朝の分だ。カレーとサンドイッチにするかな。牛乳も切れそうかもな。
頭で献立を考えると、自然と足が動くようにはなってきていた。馴染みのスーパー。
野菜、パン、ハム、カレーのルーと牛乳。ヨーグルト。カゴにパズルゲームのように詰められていく。
三つあるレジを見渡して、空いている列を品定め。並んでいる人の人数と・・・カゴの中身の量、これ大事。
並んでいる間に、自分のカゴをみると、七割くらい埋まっていた。ちょっと生きるだけで、これだけ消費するんだと目の前の食材をみて、ふいに生きるって大変だな、と頭に浮かんだ。
ピッピッピッと、変わった雛が鳴いたような音なのか、自分の頭から体を検査か確認されているような音なのか。
音が止むのを待っていた。
「2,342円になります。」
支払いを済ませて、空いてるテーブルを探す。買った重さと手を下げる力のかけ方が合わずに、制御できずにカゴをテーブルに落下させてガッと音を立てた。カゴの持ち手の両方はなにかを払いのけるような仕草でそれぞれ広がった。
タンッ、タンッと小刻みにプラスチックの持ち手とカゴの端がぶつかる音がした。
会社鞄から、このスーパーの有料レジ袋をおにぎりのように畳んでいたのを取り出し、元の形へと広げる。サァザァサァ。
カゴの食材を見渡しながら、三秒見つめたあと、一つ一つ詰めていく。空気しか入ってなかったレジ袋が実態を帯びてきた。
元通りのカラのカゴを出口の仲間達の元へと返す。またな。
私は、出口で両足を揃えた。
(了)



