戦闘狂の新妻

「……いささか、やり方が乱暴ではなかろうか」


 一時間後、唇を尖らせるオーガストに、リリーは向かいのソファで肩をすくめた。

 リリーを囲んでいた兵は、すでにオーガストが下げていた。

 代わりに、リリー付きとなった侍女に城内を一通り案内させ、今しがた戻ってきたところだった。


「招いておいて失礼なことを言われたので、つい」

「『つい』で毒草で刺されたのか。まあいい。そもそも僕は結婚する気なんてなかったんだ。しかし、そういう姿勢だけでも見せておかないと……うるさいだろう」

「なるほど。そのお気持ちはわかりますが」


 リリーは手を伸ばし、オーガストの指先に触れた。


「痛みやしびれはありますか?」

「問題ない。それと、辺境伯夫人の役割だが」

「やりますよ。まったく、年下だからできないというのは失敬ですわ」

「……すまない」


 実際に痛い目を見たからか、オーガストは先ほどよりも素直にリリーの言葉へ耳を傾けていた。


「とはいえ、今まで代行なさっていた方がいらっしゃるのでしょう? まずはその方と相談させてください。先ほどお伝えした通り、わたくしには別の使命もございますから」

「王命により、僕を補佐すると言ったな。具体的には?」

「松を植えます」

「松……?」


 リリーはにやりと笑ってオーガストを見上げた。

 オーガストは目を丸くしたあと、ふいとそっぽを向いたが、その耳はうっすらと赤く染まっていた。