本当に、昔から警戒心がないというか、俺を男として意識していないというか。
俺は小さくため息をつきながらベッドへ近づき、足元に畳まれていた布団をそっと広げた。
首元まで優しくかけてやると、彼女は心地よさそうに身を縮め、布団の端に顔を埋める。
「……おやすみ。」
起こさないように呟いて、俺は彼女の寝顔から静かに目を逸らした。
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コツコツコツ
誰もいない広い廊下にたった一人の足音がする。
向かう先はもちろん"ご主人様"すなわち、夢恋の父親の部屋だ。
ついさっき見た夢恋のあの苦しい顔を思い出す。
彼女はやはり演技をするのが大好きなのだろう。
そうやって何かに集中して目をキラキラと輝かせる彼女がいつも羨ましかった。
「だから、××になっちゃうんだよなあ。」
一人、ポツリと独り言を漏らす。
いっけね、声にでちゃった。
俺は、執事で夢恋はお嬢様。身分がちがうから、とうてい付き合うなんてことは許されない。
ほんと、なんでこの家系に生まれたのかいつも恨んでしまう。
でも、いつも誰よりも一番近くにいられることには感謝している。
あーあ、いつか気付いてくれないかな~
俺の気持ちに。
… ε ♡ з …

