ドラゴニア王国の側妃の息子である第十三王子マハールは、顔を青ざめさせており、その心の中は、荒れに荒れていた。
どうして。
子竜は聖女を見つけて、魔法陣で転送する予定だったのに。
何故第二王子の婚約者と、しかも第二王子まで一緒に転送してしまったんだ。
計画とは違うことが次々と起こり、マハールの体は震える。
魔法は一人を転送する物だったはずだから、きっと座標はずれる。
もしそれで二人が死んでしまったら……僕はこの国の法にて裁かれ処刑されるかもしれない。
そんなのただの無駄死じゃないか。
聖女さえ送れていれば、この命など惜しくはなかったのに……。
計画では最も力の強い聖女を子竜が見つけ、それを自国へと転送する予定だった。
子竜によるイレギュラーな問題であれば、国際問題にはなりにくいだろうと思っていた。それにもし問題になったとしても、王子の首一つで丸く収まる可能性が高かった。
そんな青ざめた顔をしたマハールの目の前には、鋭い瞳でその様子をじっと見つめる国王アーサーの姿があった。
机の上には檻に入れられた子竜がしょげた様子で入っており、シンは国王の後ろに控えている。
「こ、この度はこのような問題を引き起こし……申し訳ありませんでした」
アーサーは、先日の第一王子の一件にてドラゴニアの使者が来たのかと思っていたが、マハールの様子を見て何か裏があるのだろうと口元に笑みを浮かべると言った。
「そんなに気に病む必要はない。我が国の王子はそこまで軟弱者では無い。魔法使い達にもすでにどこにいるのか探し出すように命じている。きっとすぐに見つかる。……国内にいるのならばね」
アーサーの言葉にマハールはさらに顔色を悪くしていく。
その様子に、アーサーはシンに目配せをする。この様子からしてまず間違いなくドラゴニアへと魔法で転送されたのだろう。国外となると連れ戻すのに時間がかかる。
おそらくは何かしらの手違いで、二人を転送したのだろう。となれば、本当の狙いは誰だったのか。
アーサーは静かに頭の中で考え、そして一つの可能性に行き当たると笑顔でマハールに尋ねた。
「とにかく、怪我さえしていなければいいのですが。まぁ我が国にも聖女が居ますからな。怪我程度であればすぐに直すことが出来る。そう言えば、ドラゴニアには久しく聖女が現れていないとか……」
ビクリと、マハールの肩が大きく揺れる。
アーサーはそれで確信を得ると、シンを視線で呼ぶ。
そして、小声で命じた。
「ドラゴニアの聖女について、諜報部と連絡を取り確認しろ。後、ドラゴニアで何か問題が起こっている可能性が高い。それについても頼む」
「かしこまりました」
シンは部屋から出て、諜報部のある城の西側にある研究塔を目指す。
研究塔には様々な部署があり、その一つに諜報部がある。ただその存在を知っている物は極僅かであり、シン自身も出入りすることは少ない。
出入りする為には魔法で作られた許可証が必要となる。
研究塔に入れば、まず匂いが替わる。消毒液のような匂いが部屋に広がっており、顔を顰めてしまう。
シンは研究塔の奥にある諜報部の一室へと入ると、その緊迫した雰囲気に気を引き締めると声をかけた。
「国王陛下より、ドラゴニアの聖女について、またドラゴニアで起こっている問題について聞いてくるよう命じられた。答えられる者はいるか」
部屋の中は暗く、いたるところで魔法が展開されている。
円盤のようなボードの上には地図が浮かび上がっており、それらが淡く輝く。
「こちらに来て下さい。第二王子殿下の居場所を特定しました」
円盤の方へと手招きされ、地図の中に赤い点が浮かび上がっているのが見える。
「ここは…ドラゴニアの領土内だな」
「はい。ドラゴニアには新たに聖女は出現していないようで、聖女の不足が問題視されています。そして、今現在第二王子殿下がいるこの場所は、最近、我が国の諜報員によって何かしらの問題が起こっている可能性が高いとされ、調べている最中の場所です」
その言葉にシンは眉間のシワをさらに深くする。
「可能性のある問題とは?」
シンの問に、その場が一瞬静かになる。
「聖女がここで話に上がってくるとなると……可能性として一番高いのは、何かしらの病気かと」
シンはその言葉に目を丸くすると、拳を固く握りしめた。
もし伝染性の病気であるならば、第二王子をすぐに連れ戻すことが難しくなる。
目に見えない正体不明の病を自国に引き入れる可能性が高いとなると、隔離措置をとる必要があるだろう。
「陛下にその旨を伝える。とにかく正確な情報を集めるよう、よろしく頼む」
シンの足取りは、重たくなる一方であった。
私達は顔を見合わせると、お互いに緊張した面持ちで小さく息をついた。
「コレットも知っていたか。……なら話は早い。一度ここを離れよう」
「はい」
そう二人で話をしていた時であった。
ローガン様の後ろから人影が現れたかと思うと、左右にも剣を構えた男が現れ、取り囲まれていた。
体格がよく、服装からして騎士団の者たちなのだろう。
かなり手だれのものだと、その殺気から感じ取れる。
ローガン様は私を自身の後ろへと庇いながら、護身用の短剣を引き抜いた。
「……少年と…子ども?」
一人の男は一歩前に来ると、殺気を押さえ、剣を鞘に納めると言った。
「何しにここへ来た?」
ローガンは男を見据えながら、答える。
「手違いで、魔法で飛ばされてきた。ここがどこなのかも知らん」
男は私達の服装を見て、小さくため息をつく。
「可愛そうに。……何故この場所に飛ばされたのかは知らんが運が悪かったな。お前達二人を逃がすわけにはいかない。手荒なことはしたくない。着いて来てくれないか」
ローガン様は周りの人数と、現状からため息をつくと短剣を仕舞い、男に言った。
「逃げないと約束する。なので、現状とここがどこなのかなど、教えてもらえるか」
男はうなずくと、着いて来るように顎をしゃくる。
ローガン様は私の手をぎゅっと握って男の後ろから歩いていく。
村の手前へと移動した男は、テントの張られている場所まで来るとその中に私達を招き入れた。
そして、男は一緒に来ていた者達に他の見回りに戻るように伝える。
私達は促されそこに座る。
「俺は、ドラゴニア王国地方支部第二部隊団長のシバという」
ローガン様は少し思案した後に、小さく息をつくと、覚悟を決めたようにシバ様を真っ直ぐに見据えて言った。
「私は、ヴェールガ王国第二王子のローガンだ。そしてこの子が、私の婚約者のコレットだ」
その言葉に、シバ様は眉間のシワを深くすると大きくため息をついた。
そしてローガン様の前で頭を深々と下げると言った。
「隣国の王子とは知らず、無作法、申し訳ない。丁寧な口調など出来ぬことを許してもらいたい」
そして顔を上げると、シバは思案しながら言葉を繋げていく。
「……恐らくだが二人がここに来たのも、ドラゴニア王国による魔法かもしれない」
「ここからは逃げられないのだろう? 詳しく教えてくれ。」
ローガン様の言葉に、シバ様はある程度悟っているのかと考えると、静かな口調で話し始めた。
「ことの発端は、二か月ほど前のこと。この村の隣村にて、一人の病人が出たことが始まりだ。そこから感染が始まり、現在、隣接する八つの村にて同じ症状の病気が流行している。原因は不明。その為、王国は感染したと思われる村は封じの魔法を掛けて封鎖し、騎士団が支援物資を運び入れたり、医師や魔法使いと一緒に原因の究明の為に村の近隣にて調査をしている。そして、残念なことに、数日前、村人と接触していない騎士から、感染者が出た」
シバ様の言葉に、ローガン様は額に手を当てて深くため息を漏らしてから、私の方へと視線を向けた。
私の手を、ぎゅっとローガン様は握る。
「すまないコレット」
「え?」
シバ様は深くため息をついて言った。
「察しの良い方で助かる。……感染者に接触しない者が発病したということは、ここにいる皆が感染している可能性がある。故に、二人もここに隔離されることとなる。感染者を外に出すわけにはいかないからな。そして、先日本部からの連絡で耳に入った情報によると、我が国は何かしらの方法で聖女を手に入れるとのことだった。もしかしたら、二人は、それに巻き込まれたのかもしれない」
申し訳なさそうにぎゅっと手を握ってくるローガン様に、私は首を横に振ると笑顔を浮かべた。
「ローガン様のせいではないわ。私が勝手に王宮に行ったのがいけなかったのよ。それに、もう来てしまったものはしょうがないわ。ね? だから、ここの人達をお手伝いして、病気をさっさと治しちゃいましょう?」
焦った様子もなく、動揺している様子もないその私の言葉に、ローガン様もシバ様も現状がまだ分かっていないのだなと判断すると、笑顔を返してうなずいた。
「うん、そうだね」
「とりあえず……コレット嬢。君は女性騎士の所へ案内するので、そちらへ。着替えた方がいいだろう」
私はローガン様を見て、ローガン様が行っていいとうなずいたのを確認すると立ち上がった。
「よろしくお願いします」
「あぁ。ちょっと待ってくれ」
シバ様が騎士に声をかけると、テントの中に他の女性騎士が駆けつた。
「調査の方に、私も関わらせてもらえると助かるんだが…やはり、隣国の王子ごときがしゃしゃり出るのはまずいか?」
ローガン様の言葉にシバ様は驚くが、すぐにうなずいた。
「いやぁ、王子様とは思えない方だな。……手伝ってもらえるならば、頭を下げてでもお願いしたい。実の所、ここの部隊には魔法使いがいなくてな、基本的に他の部隊が魔法使いと共に調査をしているんだ。だが、俺達だってこのままで死にたくはない」
「なら話は早い。地図と、この辺りに詳しい人物もいたら、話を聞きたい」
シバ様は頷き、ローガン様と共に調査のための行動を開始することとなった。
「ローガン様、行ってくるわ」
「ああ。何かあったら声を上げてくれ」
「はい」
ローガン様は私の頭を優しくそっと撫でた。
私は微笑みを返すと、女性騎士と外へと出たのであった。
どうして。
子竜は聖女を見つけて、魔法陣で転送する予定だったのに。
何故第二王子の婚約者と、しかも第二王子まで一緒に転送してしまったんだ。
計画とは違うことが次々と起こり、マハールの体は震える。
魔法は一人を転送する物だったはずだから、きっと座標はずれる。
もしそれで二人が死んでしまったら……僕はこの国の法にて裁かれ処刑されるかもしれない。
そんなのただの無駄死じゃないか。
聖女さえ送れていれば、この命など惜しくはなかったのに……。
計画では最も力の強い聖女を子竜が見つけ、それを自国へと転送する予定だった。
子竜によるイレギュラーな問題であれば、国際問題にはなりにくいだろうと思っていた。それにもし問題になったとしても、王子の首一つで丸く収まる可能性が高かった。
そんな青ざめた顔をしたマハールの目の前には、鋭い瞳でその様子をじっと見つめる国王アーサーの姿があった。
机の上には檻に入れられた子竜がしょげた様子で入っており、シンは国王の後ろに控えている。
「こ、この度はこのような問題を引き起こし……申し訳ありませんでした」
アーサーは、先日の第一王子の一件にてドラゴニアの使者が来たのかと思っていたが、マハールの様子を見て何か裏があるのだろうと口元に笑みを浮かべると言った。
「そんなに気に病む必要はない。我が国の王子はそこまで軟弱者では無い。魔法使い達にもすでにどこにいるのか探し出すように命じている。きっとすぐに見つかる。……国内にいるのならばね」
アーサーの言葉にマハールはさらに顔色を悪くしていく。
その様子に、アーサーはシンに目配せをする。この様子からしてまず間違いなくドラゴニアへと魔法で転送されたのだろう。国外となると連れ戻すのに時間がかかる。
おそらくは何かしらの手違いで、二人を転送したのだろう。となれば、本当の狙いは誰だったのか。
アーサーは静かに頭の中で考え、そして一つの可能性に行き当たると笑顔でマハールに尋ねた。
「とにかく、怪我さえしていなければいいのですが。まぁ我が国にも聖女が居ますからな。怪我程度であればすぐに直すことが出来る。そう言えば、ドラゴニアには久しく聖女が現れていないとか……」
ビクリと、マハールの肩が大きく揺れる。
アーサーはそれで確信を得ると、シンを視線で呼ぶ。
そして、小声で命じた。
「ドラゴニアの聖女について、諜報部と連絡を取り確認しろ。後、ドラゴニアで何か問題が起こっている可能性が高い。それについても頼む」
「かしこまりました」
シンは部屋から出て、諜報部のある城の西側にある研究塔を目指す。
研究塔には様々な部署があり、その一つに諜報部がある。ただその存在を知っている物は極僅かであり、シン自身も出入りすることは少ない。
出入りする為には魔法で作られた許可証が必要となる。
研究塔に入れば、まず匂いが替わる。消毒液のような匂いが部屋に広がっており、顔を顰めてしまう。
シンは研究塔の奥にある諜報部の一室へと入ると、その緊迫した雰囲気に気を引き締めると声をかけた。
「国王陛下より、ドラゴニアの聖女について、またドラゴニアで起こっている問題について聞いてくるよう命じられた。答えられる者はいるか」
部屋の中は暗く、いたるところで魔法が展開されている。
円盤のようなボードの上には地図が浮かび上がっており、それらが淡く輝く。
「こちらに来て下さい。第二王子殿下の居場所を特定しました」
円盤の方へと手招きされ、地図の中に赤い点が浮かび上がっているのが見える。
「ここは…ドラゴニアの領土内だな」
「はい。ドラゴニアには新たに聖女は出現していないようで、聖女の不足が問題視されています。そして、今現在第二王子殿下がいるこの場所は、最近、我が国の諜報員によって何かしらの問題が起こっている可能性が高いとされ、調べている最中の場所です」
その言葉にシンは眉間のシワをさらに深くする。
「可能性のある問題とは?」
シンの問に、その場が一瞬静かになる。
「聖女がここで話に上がってくるとなると……可能性として一番高いのは、何かしらの病気かと」
シンはその言葉に目を丸くすると、拳を固く握りしめた。
もし伝染性の病気であるならば、第二王子をすぐに連れ戻すことが難しくなる。
目に見えない正体不明の病を自国に引き入れる可能性が高いとなると、隔離措置をとる必要があるだろう。
「陛下にその旨を伝える。とにかく正確な情報を集めるよう、よろしく頼む」
シンの足取りは、重たくなる一方であった。
私達は顔を見合わせると、お互いに緊張した面持ちで小さく息をついた。
「コレットも知っていたか。……なら話は早い。一度ここを離れよう」
「はい」
そう二人で話をしていた時であった。
ローガン様の後ろから人影が現れたかと思うと、左右にも剣を構えた男が現れ、取り囲まれていた。
体格がよく、服装からして騎士団の者たちなのだろう。
かなり手だれのものだと、その殺気から感じ取れる。
ローガン様は私を自身の後ろへと庇いながら、護身用の短剣を引き抜いた。
「……少年と…子ども?」
一人の男は一歩前に来ると、殺気を押さえ、剣を鞘に納めると言った。
「何しにここへ来た?」
ローガンは男を見据えながら、答える。
「手違いで、魔法で飛ばされてきた。ここがどこなのかも知らん」
男は私達の服装を見て、小さくため息をつく。
「可愛そうに。……何故この場所に飛ばされたのかは知らんが運が悪かったな。お前達二人を逃がすわけにはいかない。手荒なことはしたくない。着いて来てくれないか」
ローガン様は周りの人数と、現状からため息をつくと短剣を仕舞い、男に言った。
「逃げないと約束する。なので、現状とここがどこなのかなど、教えてもらえるか」
男はうなずくと、着いて来るように顎をしゃくる。
ローガン様は私の手をぎゅっと握って男の後ろから歩いていく。
村の手前へと移動した男は、テントの張られている場所まで来るとその中に私達を招き入れた。
そして、男は一緒に来ていた者達に他の見回りに戻るように伝える。
私達は促されそこに座る。
「俺は、ドラゴニア王国地方支部第二部隊団長のシバという」
ローガン様は少し思案した後に、小さく息をつくと、覚悟を決めたようにシバ様を真っ直ぐに見据えて言った。
「私は、ヴェールガ王国第二王子のローガンだ。そしてこの子が、私の婚約者のコレットだ」
その言葉に、シバ様は眉間のシワを深くすると大きくため息をついた。
そしてローガン様の前で頭を深々と下げると言った。
「隣国の王子とは知らず、無作法、申し訳ない。丁寧な口調など出来ぬことを許してもらいたい」
そして顔を上げると、シバは思案しながら言葉を繋げていく。
「……恐らくだが二人がここに来たのも、ドラゴニア王国による魔法かもしれない」
「ここからは逃げられないのだろう? 詳しく教えてくれ。」
ローガン様の言葉に、シバ様はある程度悟っているのかと考えると、静かな口調で話し始めた。
「ことの発端は、二か月ほど前のこと。この村の隣村にて、一人の病人が出たことが始まりだ。そこから感染が始まり、現在、隣接する八つの村にて同じ症状の病気が流行している。原因は不明。その為、王国は感染したと思われる村は封じの魔法を掛けて封鎖し、騎士団が支援物資を運び入れたり、医師や魔法使いと一緒に原因の究明の為に村の近隣にて調査をしている。そして、残念なことに、数日前、村人と接触していない騎士から、感染者が出た」
シバ様の言葉に、ローガン様は額に手を当てて深くため息を漏らしてから、私の方へと視線を向けた。
私の手を、ぎゅっとローガン様は握る。
「すまないコレット」
「え?」
シバ様は深くため息をついて言った。
「察しの良い方で助かる。……感染者に接触しない者が発病したということは、ここにいる皆が感染している可能性がある。故に、二人もここに隔離されることとなる。感染者を外に出すわけにはいかないからな。そして、先日本部からの連絡で耳に入った情報によると、我が国は何かしらの方法で聖女を手に入れるとのことだった。もしかしたら、二人は、それに巻き込まれたのかもしれない」
申し訳なさそうにぎゅっと手を握ってくるローガン様に、私は首を横に振ると笑顔を浮かべた。
「ローガン様のせいではないわ。私が勝手に王宮に行ったのがいけなかったのよ。それに、もう来てしまったものはしょうがないわ。ね? だから、ここの人達をお手伝いして、病気をさっさと治しちゃいましょう?」
焦った様子もなく、動揺している様子もないその私の言葉に、ローガン様もシバ様も現状がまだ分かっていないのだなと判断すると、笑顔を返してうなずいた。
「うん、そうだね」
「とりあえず……コレット嬢。君は女性騎士の所へ案内するので、そちらへ。着替えた方がいいだろう」
私はローガン様を見て、ローガン様が行っていいとうなずいたのを確認すると立ち上がった。
「よろしくお願いします」
「あぁ。ちょっと待ってくれ」
シバ様が騎士に声をかけると、テントの中に他の女性騎士が駆けつた。
「調査の方に、私も関わらせてもらえると助かるんだが…やはり、隣国の王子ごときがしゃしゃり出るのはまずいか?」
ローガン様の言葉にシバ様は驚くが、すぐにうなずいた。
「いやぁ、王子様とは思えない方だな。……手伝ってもらえるならば、頭を下げてでもお願いしたい。実の所、ここの部隊には魔法使いがいなくてな、基本的に他の部隊が魔法使いと共に調査をしているんだ。だが、俺達だってこのままで死にたくはない」
「なら話は早い。地図と、この辺りに詳しい人物もいたら、話を聞きたい」
シバ様は頷き、ローガン様と共に調査のための行動を開始することとなった。
「ローガン様、行ってくるわ」
「ああ。何かあったら声を上げてくれ」
「はい」
ローガン様は私の頭を優しくそっと撫でた。
私は微笑みを返すと、女性騎士と外へと出たのであった。
