俺様御曹司はご乱心


 ──とある日

「今日どうするよ。俺が七瀬家(そっち)行ってもいいけど~?」

「あぁごめん、無理」

「あ?」

 いやいや無理て。主語くれよ主語を。つうか即答すんな。

「そ、そんな顔しないでもらっていい?」

 目を細めながら見下ろす俺に若干焦っている七瀬。

「無理ってなんだよ」

 べつに怒ってるわけじゃねぇし、こいつの行動を極端に制限するつもりもねえ。ただ、内容によりけりってやつな。

 まぁぶっちゃけ束縛しようと思えばいくらでもできるが、俺だって女と一切関わらねぇとか立場上無理なわけで、七瀬に男とは一切関わんなとか言えた立場じゃねえんだよなぁ。

「急遽女子会の予定が入ったの。今日は天馬(ここ)で解散ってことで」

「あぁ? 女子会だあ?」

「そうそう! サーバント女子会なんだ~!」

 こいつ無邪気なんだよなぁ、こういう時。

 そういや今日、サーバント連中は早上がりか。定期的にあんだよなぁ、精神と肉体のケア目的で。

「ふ~ん、あらそ。で、送迎どうすんの? 俺がしてやってもいいけど?」

「ううん、大丈夫。宮路先輩が手配してくれたみたい!」

「へえ」

 宮路って男たらしの二軍サーバントだっけか。

 まぁ男たらしってだけで七瀬に危害が及ぶわけでもねぇしな。なんだかんだ仲良くしてるっぽいし、そもそも女子会ってんなら行かせねぇ理由がないわな…………俺との時間が削られるってだけで。

「だめ、かな?」

 ほらきた。必殺、うるきゅん上目遣い。(なんかダサい)

 んで俺は、上目遣い(これ)にめっぽう弱い。本人は無自覚無意識だから厄介すぎる。

「行くな。なーんて言ったことねぇだろ? 行ってこいよ」

「いいの?」

「ああ」

「へへっ、ありがとう九条」

 ほらきた。必殺、縛りつけたくなるほど愛くるしい笑顔。(惚れた女が可愛くて可愛くて仕方ない系彼氏)