『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』

家族は帰した。

 これで、もう遠慮はいらない。

 俺はゆっくり窓路へ視線を戻した。

「さて。今度こそ、全部話せ」

「ああ」

「逃げんなよ」

「逃げない」

「本当に?」

「しつこい」

「お前が信用ならねぇんだよ」

 神楽の穏やかな笑いが、心の中へ静かに響いた。

 窓路が何を企んでいるのか。死神部門が何故、あそこまで徹底して仕事を止めたのか。俺の手当の書類まで止めた理由は何なのか。

 そして、冥府庁官房長官である木魂おじさんが、一体何をやらかしたのか。

 聞きたいことは山ほどある。

 けれど――それは、ここから先の話だ。

 昨日まで、自分は本当にただの門番だったはずなのに、気づけば三年前から部門長で、今日は存在すら知らなかった双子の兄まで増えた。しかも五十年ぶりに盛大に暴走した両親のせいで、近い将来、今度は弟か妹まで増えるかもしれないらしい。

 ついでに、家族を守るため何気なく張っていた自宅の防御結界が、天界すら揺らした親父と母さんの災害級の魔力まで遮断していたことまで判明した。

 どうして一日二日で、ここまで家族事情と面倒事ばかり増えるのか。

 考えれば考えるほど頭が痛くなり、俺は思わず天井を仰いだ。

「……本当に、どうしてこうなった」