『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』

「それで、わざわざ家族全員呼んだ理由は何だよ」

 俺がそう尋ねると、母さんの笑顔が少しだけ薄れ、親父も黙った。

「こっちよ」

 それだけ言うと、母さんは統括宮の奥へ向かって歩き始めた。

 いつも使っている執務室を通り過ぎ、さらに奥へ進んでいくと、やがて見覚えのない廊下へ入る。

「こんな場所あったか?」

「あるわよ」

「俺、知らないけど」

「知らせてないもの」

「……またそれかよ」

 昨日から知らないことばかりだ。

 部門長だったこと。

 親父の隠し部屋。

 そして今度は、天界の奥にある謎の廊下。

「軍釟」

 親父が低い声で呼ぶ。

「何だよ」

「この先で見るものについては、まず最後まで見ろ。途中で暴れるな」

「何で俺が暴れる前提なんだ」