『冥府の門番は今日も忙しい!――聞いてないぞ! 死神が仕事放棄とか!――』

そう呟きながら端末を閉じた、その時だった。

 何処からともなく、聞き慣れた明るい声が響いてくる。

『軍釟〜、起きてる〜?』

 俺は反射的に天井を見上げた。

「……母さん」

 その途端、灯里と朔の顔が一気に明るくなる。

「沙羅麻ちゃーん!」

「おはよー!」

『は〜い、おはよう〜!』

 完全に定着してるじゃねぇか。

「お前ら昨日一日で何覚えてんだよ!」

『いいじゃない、可愛いんだから』

「母さんも喜ぶな!」

 千景はすでに声を殺して笑っていて、俺だけが朝から疲れている。

「で、何だよ。こんな朝早く」

『昨日の手当の件よ』

 その一言で、一気に目が覚めた。

「どうなった?」

 少しだけ間があり、母さんの声がわずかに変わる。

『それがねぇ……私も昨日はてっきり螺良のせいだと思ってたんだけど、違ったの』

「は?」

『家族手当と危険手当の申請書類、あなたのところまで届いてなかったでしょう?』

「ああ」

『止めていたの、窓路よ』