「井本くんはそういうのじゃ…っ」
誠を見上げる香織の目から、ポロッと涙があふれて落ちた。
次第に、ポロポロと落ちてくる涙に、香織は鼻をすすりながら手で拭う。
「こ、これはっ、ちが…」
「大丈夫」
香織の頭をポンポンと撫でる誠を、チラッと見ると、真剣な眼差しで見てくれていた。
急に顔が熱くなる香織は、恥ずかしくなってくる。
擦り続ける手を誠が取って、止めさせた。
「僕も、怖い?」
覗き込むように小首を傾げる誠は、ジッと香織を見つめた。
「…裏表激しいけど…怖くない…」
「…元気じゃん」
フッと笑う黒子の口元と優しい目元に、香織は赤い顔を逸らしてしまった。
「センパイさ、僕とのランチ断わらない方がいいと思うんだよね」
「……だって、井本くんが」
誠の人差し指が、香織の口を塞ぎ、言葉を止める。
「僕の前で、他の男の名前は禁止」
耳まで真っ赤になる香織に、ニヤリと笑う誠が、掴んでいた手を自分の方へ引いて寄せた。
誠の真っすぐな眼差しが香織を捕らえる。
「ねぇ…センパイはさ、僕の誘い断ったこと、何とも思わないの?」
今も指で塞がれる香織の口は、開こうにも開けないまま、誠に手を引かれ続ける。
「違う男にホイホイ行ってさ~。先約?そんなの指導係のセンパイとしてダメなんじゃない?」
近づく誠の顔と香織の顔は、鼻が付きそうな距離となっていた。
「イイ男ってやつを、僕が指導してあげないとね…センパイ?」
「ちょ、ま、待ってください、は…長谷川く」
「待つ必要ないよね?」
ようやく指が離される代わりに、香織の腰に手を回す誠。
香織は誠の胸を両手で押して制止するものの、角度を斜めにして近づいてくる顔に、目をギュッと閉じた。
「ほーんと、可愛いね。センパイ」
耳元でそっと囁かれると、ハッと目を開く。
そして、誠の手が離されると、残った目元の涙を優しく指で拭われた。
「本気の指導、覚悟してね?香織センパイ。返事は?」
「は、はい…」
不敵にも優しくも見える笑みを浮かべると、誠はその涙をペロッと舐めてみせる。
耳を押さえる香織の鼓動が一段と高鳴り、誠の言う“指導”を上の空で想像してしまった。
(…私…どうなるの…!?)
非常階段の微かな風に二人の髪がなびくと、昼休憩が終わるチャイムが鳴った。
誠を見上げる香織の目から、ポロッと涙があふれて落ちた。
次第に、ポロポロと落ちてくる涙に、香織は鼻をすすりながら手で拭う。
「こ、これはっ、ちが…」
「大丈夫」
香織の頭をポンポンと撫でる誠を、チラッと見ると、真剣な眼差しで見てくれていた。
急に顔が熱くなる香織は、恥ずかしくなってくる。
擦り続ける手を誠が取って、止めさせた。
「僕も、怖い?」
覗き込むように小首を傾げる誠は、ジッと香織を見つめた。
「…裏表激しいけど…怖くない…」
「…元気じゃん」
フッと笑う黒子の口元と優しい目元に、香織は赤い顔を逸らしてしまった。
「センパイさ、僕とのランチ断わらない方がいいと思うんだよね」
「……だって、井本くんが」
誠の人差し指が、香織の口を塞ぎ、言葉を止める。
「僕の前で、他の男の名前は禁止」
耳まで真っ赤になる香織に、ニヤリと笑う誠が、掴んでいた手を自分の方へ引いて寄せた。
誠の真っすぐな眼差しが香織を捕らえる。
「ねぇ…センパイはさ、僕の誘い断ったこと、何とも思わないの?」
今も指で塞がれる香織の口は、開こうにも開けないまま、誠に手を引かれ続ける。
「違う男にホイホイ行ってさ~。先約?そんなの指導係のセンパイとしてダメなんじゃない?」
近づく誠の顔と香織の顔は、鼻が付きそうな距離となっていた。
「イイ男ってやつを、僕が指導してあげないとね…センパイ?」
「ちょ、ま、待ってください、は…長谷川く」
「待つ必要ないよね?」
ようやく指が離される代わりに、香織の腰に手を回す誠。
香織は誠の胸を両手で押して制止するものの、角度を斜めにして近づいてくる顔に、目をギュッと閉じた。
「ほーんと、可愛いね。センパイ」
耳元でそっと囁かれると、ハッと目を開く。
そして、誠の手が離されると、残った目元の涙を優しく指で拭われた。
「本気の指導、覚悟してね?香織センパイ。返事は?」
「は、はい…」
不敵にも優しくも見える笑みを浮かべると、誠はその涙をペロッと舐めてみせる。
耳を押さえる香織の鼓動が一段と高鳴り、誠の言う“指導”を上の空で想像してしまった。
(…私…どうなるの…!?)
非常階段の微かな風に二人の髪がなびくと、昼休憩が終わるチャイムが鳴った。


