ラッセルの丘で

 スカートはそのままで下着だけを引っ張り下ろし、さっき脱がせたシャツの上に放る。
 はぁ、はぁ、と肩で息をする優依の唇の端、零れた唾液を舌で舐めとってから、ポケットに手を突っ込んでさっきもらったゴムを取り出した。ジーンズごと下着を下ろし、あり得ないほどガチガチに硬くなったそこに手早く着ける。
 当然、こっちに来てからこんなことをするのは初めてだ。ひとりで何度か抜いたとはいえ、久々だからひどく興奮しているのが自分でもよくわかった。
 ちゃんとまともにもつかどうか、なんて心配する間も惜しくて、すぐに優依の脚を抱えあげる。さっきさんざん弄んでどろどろに溶け切ったその部分めがけて腰を進め、一気に奥まで貫いた。
「あぁぁっ……」
「うっ……」
 指でしっかりほぐしたはずなのに、中はひどく狭かった。しかも、濡れているのに締め付けがものすごくて、腰の奥の方がぞくっとして一瞬気が遠くなる。じりじりと背筋を駆け上がっていった快感が、首筋を舐め上げ頭の後ろまでびりりと痺れさせる。あまりの気持ちよさに、気を抜くと情けない声が漏れてしまいそうだった。
 くそ……ヤバい女なのに。
 こんな女、関わったらとんでもないはずなのに。
 なのに、どうして。
 どうして、こんなに――
 日本で付き合っていた彼女とのセックスなんて、まるで比べ物にならない。中が、というだけじゃない。身体が、というだけじゃない。
 何もかもが――優依のすべてが、まるで底なし沼のようにオレを絡め取って容赦なく飲み込む。華奢で可愛らしい見かけがまるで嘘のように、激しく、淫らに、貪欲に。
 ここまで気持ちのいいセックスは、初めてだ。
 根元まで挿しこんだまま、ぐっと密着して腰を回す。ああ、やばい。死ぬほど気持ちよすぎて、気を抜くとすぐイってしまいそうだ。
 柔らかな太腿を胸の前で抱え込み、擦りつけるように腰を押し付ける。ちょうど蕾の部分が擦れているらしく、びくん、とわかりやすく細い身体が撓った。
 堪えるように目を閉じ、優依は両手で口を覆ったままだ。身体を傾け、その小さな手にそっと触れた。
「優依……」
 呼びかけると、ゆるゆる目が開いた。すっかり濡れた瞳がオレを捉えて絡めとる。
「しょう……くん」
 小さな子供みたいにたどたどしくオレを呼び、そのくせ、子供が絶対に口にしない台詞を言ってくる。
 ね、すっごく気持ちいい、私、おかしくなりそう――
 吐息交じりの呟きを耳に、しばらくのあいだ深くつながって優依の奥の奥に触れていた。  
 ぎゅっ、ぎゅっ、と奥の方が収縮するのがはっきりわかる。それに合わせてびくっ、びくっ、と優依の身体が震えるのがたまらなくそそる。
 我慢できなくなって、オレは動き始めた。
 待って、待って、やだ、といううわごとのような呟きを(はな)から無視して、腰を激しく動かした。
 捲れあがり、搾られる。むき出しの神経が擦れ、擦られる。そんな錯覚さえ抱きそうになるほどの、すさまじい快感に襲われる。わけがわからないほどの気持ちよさで、もう何も考えられない。理性が完全に焼き切れ、本能のみで獲物を貪る獣にでもなった気分だった。
 気遣う余裕もなくただ激しくピストンしながら、うっとり恍惚とした表情を浮かべて喘ぐ優依を見下ろしていた。小さな顔。どちらかというと童顔で、本当に可愛らしい。なのに、まるで似つかわしくない欲望を全開にして、あられもない姿で乱れに乱れ、快感に溺れる優依。
 なんてヤバい女だ。関わったら最後だ、こんな女。
 わかっているのに――
 どうしてこんなにまで欲しくてたまらないんだろう。
 どうしてこんなにまで魅力的なんだろう。
「優依……優依……」
「憧くっ……あっ……あっ……あっ……あぁぁっ」 
 びくん、びくん、と下半身を中心に優依が一際激しく震えた。奥の奥がぎゅうっとあり得ないほど締まって、痛いほどにオレを絞り上げる。
「うっ……くっ……」
 だめだ、もう――
 遠慮も何もなく半ばやけくそみたいに最後の最後まで腰を打ち付け、優依の奥の奥でオレは果てた。