ラッセルの丘で

 唇をこじ開けるように舌をねじ込むと、最後に飲んだというスクリュードライバーの名残か、甘酸っぱいオレンジの味がする。歯列を舐め上げ、歯茎を舌先でくすぐると、腕の中の華奢な身体がびくっと震える。さっき敷いたシャツの上に優依を押し倒し、覆いかぶさってキスをしながらシャツのボタンに手をかける。
 一つ、二つ、三つめまで外して、すぐさま手を突っ込んだ。華奢な見た目どおり控えめな胸のふくらみを、手で包み込む。ブラジャーごとやわやわ揉みながら、きつく角度をつけて犯すように口の奥深くまで舌を伸ばす。当然、苦しそうに逃れようとするが、空いた方の手で顎を押さえ付けて延々と吸い続けた。諦めたのか、ほどなく舌を絡めて応えてくるのが、ぞくぞくするほど嬉しかった。
 そうだよ、こういう女だろ、優依は。
『好きなこと、好きなだけ、したいこと、したいだけ。せっかく異国の地にいるんだもの、日本じゃ絶対できないこと、やりまくるの』
 日本じゃ、絶対にできないよな、夜中の公園でセックスなんて。
 着替えたときにシャワーを浴びたのだろう。青りんごの香水だけでなく、肌からはうっすらとせっけんのいい匂いがする。こうされるのを期待していたんだろう、と身勝手に決めつける。そんな乱暴な思考にさえひどく煽られて、自然と息が荒くなる。
 残りのボタンをはずし、剥ぎ取るようにシャツを脱がせる。舌を絡め合いながら背中のホックに手を回し、ブラジャーも外してしまう。堅くなりかけた先端を乱暴に摘まみ上げると、全身がびくんと大きく痙攣した。
 唇を離すと、呼吸を乱した優依と至近距離で目が合った。明らかに蕩けてはいるが、どこか咎めるような視線がオレを刺してくる。
「……憧くん、こういうこと、いつもしてるの?」
「まさか」
「じゃあ、どうして?」
「……たぶん、お前と同じだよ。ねえ、もう、黙って」
 むき出しになった二つのふくらみを左右それぞれの手で乱暴につかんで揉みしだき、先端に吸い付いた。躊躇なく口の中で転がして舌で弄ぶと、優依は身体を逸らせてびくっ、びくっ、と敏感に反応した。
 ほっそりしたまるで少女のような身体つきとはうらはらに、こうして甘く乱れる様はしっかり男に慣れている証左でもある。興奮する反面、これまで何人の男にこんな姿を晒してきたのか、と想像するだけではらわたが煮えくり返る。あまりに理不尽な嫉妬で狂いそうになる。こういう女である優依にどうしようもなく惹かれていながら、同時に憎しみさえ抱いてしまう。苛立ち紛れに肌を強く吸い上げ、わざと赤く痕を残してやった。
 好き勝手に身体を弄られながら、優依は悩まし気な吐息を漏らし、かわいらしく喘ぎ、身体をくねらせる。ほどなくオレの頭に伸びてきた手が、すがるようにくしゃっと髪を掴んだり、ゆるゆると指の間で梳いたりする。指の腹が地肌に触れるたび、ゆるりゆるりと心地よさが後頭部に広がっていく。
 草の香り、時おり吹く夜風。ここが外だと、嫌でも思い知らされる。でも、だから一体なんだというんだ? 外だろうが、関係ない。こんな夜中に、どうせ誰もいやしない。
 優依の太腿の間に潜り込ませた膝で、ぐいっと付け根部分を刺激する。んっと小さく声を漏らし、優依の頭がふるふると左右に揺れた。
 だめ、ということか。そんなの、知るか。もう、やめるなんて絶対無理だ。
 片手でタータンチェックのスカートをたくし上げ、手で太腿を撫で上げる。しっとり吸い付くようにすべすべな感触がたまらない。華奢な見かけのわりに、ふっくら柔らかいのにもひどく興奮した。
 下着の中心部分を中指と薬指でそっとなぞると、すでに湿った感触がはっきり伝わってくる。
 だめ、じゃないだろ。もう、こんなじゃないか。嘘つくなよ、優依。
「憧くん……だめ」
 形ばかりの拒絶なのは、一目瞭然だ。本当に抵抗するつもりもないのは、オレを押しのけようとはせず、されるがままでいる様子からも明らかだ。
 かまわず、下着の中へ指を潜り込ませると、温かいというより熱いほどだった。酒ではなく、今この瞬間こうしている時間に酔って熱を帯びているのだと信じたい。何の抵抗もなく沈み込んでゆく二本の指が柔らかな粘膜を捲りあげ、すぐさま濡れてゆく。
「あぁぁっ……」
 入り口付近の浅いところで何度か指を動かすと、びくっと優依の身体が揺れた。片手で口元を覆い、自分の人差し指を食むようにして耐える姿が死ぬほどそそる。がくがくと小刻みに震えながら、んっ、んっ、んっ、とため息交じりの声が唇から零れた。
 くそ、なんでだよ。
 なんで、そんな格好で、そんなかわいい声、出すんだよ。
 身勝手で、ヤバい女のはずなのに、なんでだよ。
 腹立ちまぎれにぐいっ、と無遠慮に指二本を奥までねじ込んで抉ってやると、一際大きくのけ反った優依が喘ぐ。切なげに、憎らしいほど可愛らしく。
 ぐちゅっ、ぐちゅっ、とものすごい音がするほどたっぷり濡れていた。夢中で何度も何度も中をかき回して、ついでに前の敏感な部分を親指で強く押しつぶす。焦ったように身じろぐ優依に伸し掛かり、顔を近づける。
「ぃやぁぁっ……んっ」
 悲鳴のような声を唇で塞ぎ、延々と指で奥を犯し、蕾を刺激する。
 びくっ、びくっ、と苦しそうに撓る身体を押さえつけたまま、唇を解放した。半開きになった口の端から、どちらのものともわからない唾液が細く垂れている。そんなあられもない姿をじっくり堪能してから、ようやくオレは指を引き抜いた。