男装中の私、何故か愛されてます!?

1話 不安しかない学園生活、?

「優しいのですね。」
どこからか声がした。門の横に立っていたのは銀髪の男子生徒で、近寄り難い雰囲気があった。
「転入生ですね、学園長室までご案内します。ついてきてください。」
それだけいうと、学校の中に入っていく。我にかえり、慌ててついて行く。
「あ、あの、あなたは?」
一瞬銀髪の男子生徒が止まる。だが本の数秒だけで、すぐに歩き直す。
「天野裕翔です。……あなたは?」
振り返りもせず言う。すこし失礼ではないかと思いながらも遠慮気味に言う。
「岩崎悠里です。」
「そうですか。」
裕翔と名乗った男子生徒は、短い返事だけをして歩き続ける。自分から聞いといてその返事はなんだ、?!と思う。
「ここです。では、僕はこれで。」
そう言って、去っていってしまった。目の前に、校長室と書かれた扉がある。そのドアを開けると、目の前に座っていたのは、優しそうな学園長だ。
「よく来たね。どうぞ、ここに座って。」
言われた通り、椅子に座る。ふかふかしていて、座り心地の良い椅子だった。
「学園の説明はされてると思うけど、改めて説明させて欲しい。この学園は寮制でね、君は男子寮に配属される。だけど、、、」
学園長が言い淀んだ。嫌な予感がするのは、私だけだろうか。
「君にはぜひ、生徒会に入って欲しい。生徒会には生徒会寮という特別な寮がある。君の成績なら、十分生徒会に入れるよ。もちろん、君の意思を尊重するけどね。」
生徒会。それは、学園をまとめる、生徒最高の権力をもつ者たちのことを言う。転入生と言うだけでも話題にするには十分だと言うのに、その転入生が生徒会に入るとなると、学園中が大騒ぎになるだろう。
「あの、、、保留はダメでしょうか、?」
「保留、?」
学園長がキョトンとする。まるで、意味がわかっていないように。
「……保留か。その選択をする人は、初めて見たな。いや、いいよ。いいけれど、それだと寮をどちらにするか検討しないといけないけれど、それでもいいかい?」
困惑していた。本当にこの選択をした人は初めてらしい。だが、今は学校生活に慣れたい。それに、男装していることをバレないようにしないといけない。それだけで手一杯なのだから。
「寮は、普通の男子生徒が入る寮にして貰えますか、?」
「……うん。いいよ。それじゃあ、君の教室は2-Bだよ。そこの廊下を左に曲がって、真っ直ぐ行った先がその教室だ。」
「ありがとうございます。……失礼しました。」
ドアを閉め、パタン、という音が鳴る。心臓がバクバクしている。
(バレなくて良かった……)
こんな生活をずっとしないといけないのか、と内心思う。
廊下を左に曲がり、真っ直ぐ進む。2-Bの教室が見えてくる。
(よし、入るぞ。)
こうして、悠里の学園生活が今、始まる。