『みすとら』 小さな恋の物語

「ゴメンしてけろ、今日はアイスをきらせてしまったのっさ」食堂の親父さんが謝罪していました。
「ダーメー!」カスミの怒りは相当なものでした。
「代わりに、プリンやるのっさ!」
「ダーメー! プリンは夜に食べるの!」
「んでは、すぐに買ってくるのっさ!」親父さんは、アイスを買いに行きました。
「カスミ~。あんまりワガママ言うもんじゃないよ~」ユキが言いました。
「食べることをなまけてはダメなのです!」カスミはずっと膨れていました。
三十分後に、親父さんは戻ってきました。
「ゴメンしてけろ。いつものがなかったのっさ。これで許してけろ」買ってきたのは、バニラのカップアイスでした。
「ダーメー! ちーがーうー!」
「カスミ~、許してやりなよ。食べないなら、あたしが食べちゃうよ」
「ダーメー! カスミが食べるのー!」機嫌は直りませんでした。
「親父さん、ゴメンね~」ナゼか、ユキが謝っていました。一日中、カスミの機嫌は悪いままでした。
「あのおじさん、髪形がトラ狩りだよね」ユキが言いました。
「腕の毛が、熊みたい」私は言いました。
「口元は、ウマみたいだよ! 許さない!」カスミが言いました。
「まぁまぁ、許してあげよう~」ユキがなだめました。
「まぁまぁ、・・・」私もなだめました。
「・・・、あは~」

教室に入ると、久しぶりに担任の先生がいました。
「アラ、先生お久しぶりです」そよりさんが言いました。
「やぁ、みなさんお久しぶりです」担任の先生は、体育の先生でした。
【松柳竹彦(まつやなぎたけひこ)】20代後半、おそらく独身。得意なスポーツは、水泳とバスケットボール。ルックスほどほど。身長まずまず。性格そこそこ。
教室に集まったのは、そよりさん、ここあちゃん、私、ユキ、カスミの五人だけでした。

「今日も少ないわね~。あと他に誰かいなかったっけ?」ユキが言いました。
「いつも、この五人だよね~」
「他に、何人かいたハズよね~」
「誰かいたっけ?」私は、遠い昔の記憶をたどりました。
「! 外人の子いたね」
「ナントカシアって、言ったっけ?」ユキは思い出せませんでした。
「誰だっけ~?」私とカスミも、思い出せませんでした。

「さてみなさん、今日は『触れ愛ドーブツデー』です」
「またあれ、やるの~?」ユキは、乗り気ではありませんでした。
「まぁ、みなさん、月に一度のお約束ですから」先生は、ユキをなだめました。