『みすとら』 小さな恋の物語

食後のプリンを食べているカスミは、『この世の幸せを独り占め』していました。
「なんか、機嫌がいいと思ったら、今日のプリンは特に大きいわね~」ユキが納得していました。
「そうだよ~。今日はラッキープリンデーなんだって~。あ~っむ」と、大きな口でプリンをチョコチョコ食べていました。『ラッキープリンデー』と言っても、普通のプリンにサクランボとキウイがのっているだけでした。
「(余った果物かな~?)」とも思いましたが、カスミが喜んでいるので何も言いませんでした。
「口が大きいのに、プリンは小さいんだね」私は、気になりました。
「大きな口で、小さいプリンを食べると味が変わるんだよ」カスミはご機嫌でした。
「アナタは、朝はアイス。昼はヨーグルト。夜はプリンを欠かさずに食べてるわね」
「食べることをなまけてはダメなんだよ」カスミは訳の分からないルールに縛られていました。
「そういえばユキって、小学生の時、バスケットボールやってなかったっけ?」私は気になりました。
「クラスでみんなやってたからね~。人数合わせで何回かやっていただけよ」
「・・・てことは、やっぱり小学生の時は公立の小学校だったんだ」
「それが、思い出せないのよ~。公立の小学校に通っていた記憶もあるし、この学園に小学生の時からいた記憶もあるの」
「カスミも同じ~」
「何故だろう・・・」私たちには二つの記憶が同時に存在していました。頭の中が混乱してくるので、私は話題を変えました。
「ユキは、あたしがやりたいから吹奏楽部に入ってくれてるの?」
「そうだよ~。部活なんか何でもいいもん」
「他にやりたいことないの?」
「『他に』ったって、こう人数がいなくちゃ、何にも出来ないわよ」
「そうだね~。吹奏楽部も三人しかいないから休部状態だし・・・。そよりさんは部活なんかに興味を示さないし、ここあちゃんは存在自体が謎に包まれているし・・・」
「どうしようか・・・」
「何かやりたい部があるんなら、参加するわよ」と、ユキは言ってくれました。
「ん~。カスミは何かやりたいことある?」とユキは、カスミに聞いてみました。
「ダンス~」
「お? ダンスか~」ユキが食いつきました。
「面白そうね~」私も気になりました。
「そんなら、明日やってみる?」
「やる~」
「やってみよっか」毎日毎日、部活のような遊びのような日が続いていました。小学生の頃は毎日、何教科も勉強していたのに、この学園ではあまり授業がありませんでした。そもそもなぜこんなに生徒が少ないのか、なぜこんなに勉強が少ないのか、分かりませんでした。
吹奏楽部に挑戦しようとしましたが、人数が全然足りませんでした。私がフルート、ユキがトランペット、カスミはパーカッションだったので、一曲も演奏できませんでした。