愛しのオオカミ


「めっ……ちゃくちゃ…嬉しいだけど…。え、いいの…?」

「…ふふっ…あはは…ご、ごめんね…ふふ…」

「美紀ちゃん、笑いすぎるから、見る!」


赤い顔のまま、目の部分にあたる指のすき間を作り、もう一度美紀を笑わせたあと、紙袋を受け取った。


「オレ…大したことしてないのに、いいのかな~。すっげ嬉しい~…開けていい?」

「うん…」


ようやく手を下ろして、本当に嬉しそうに笑う亮太は、さっそく紙袋を開けて中の物を取り出す。
手に取ったのは、オレンジ色の長タオル。


「おぉ!タオル!これ、使っていいの!?」

「使ってくれると嬉しい。亮太くんに、だから」

「へへっ。オレのカラーは、美紀ちゃんから見てオレンジなんだ?」

「…うん…その、いつも笑ってて、まぶしくて…太陽みたいだなって…」


美紀の言葉を聞いた亮太は、キョトンとした顔になった。
ハッとする美紀は、恥ずかしさが込み上げてきて、慌ててごまかそうとする。


「あ…!えっと、そのあったかい人だなとも思うし、あ…すごい変なこと言って」

「嬉しいよ、美紀ちゃん。…似合う~?」

「…うん!」


首にタオルを掛ける亮太は、ポケットに手を入れて見せた。
懸命にコクコクと頷く美紀を見たら、タオルで早速汗を拭いた。

美紀は自分の席に戻ると、バッグから同じ柄の色違いのタオルを取り出して、首に掛ける。


「!…美紀ちゃんの…」

「…あ、赤にしました…」

「ふはっ、お揃い。やばい、今日、めっちゃくちゃ嬉しい日だ~」


終始、嬉しそうに笑い続ける亮太に、笑みを返していると、クラスメイトがパラパラと登校してきた。


「おはよ~…って、え!?亮太くん!?押花ちゃん!?」

「二人どしたの!?」

「きゃー!!ついに!?おはよう押花ちゃん!詳しく!」

「え、あ…ち、違うよ…!?その、個人的なお礼を…」


亮太に集まるクラスメイトに囲まれる美紀は、苦笑いしつつ、上手くできていないような説明をした。


「そ~。オレにだけくれたお礼~。羨ましいだろ~?」

「はい、現行犯。罪」

「押花ちゃん。そのタオル、あそこの雑貨屋さんのでしょ?私も見たよ」

「ダメダメ。オレと美紀ちゃんのお揃いだからさ~」


一緒に笑う美紀を見ても、どよめきや静けさはなく、みんなで笑った。
美紀は、この雰囲気に居心地の良さを感じる。


(…友達って…嬉しい…!)


予鈴が鳴る前に、修が教室に入ってきた。