「あ、瑠華ちゃん! 幸平なら今、彼女ちゃんと花火大会出かけたわよー。本当、あの子ったら毎日出かけてばかりで」
庭で鉢植えの水やりをしていた幸平のお母さんに笑顔でそう話しかけられた日、私は胸の奥が凍りつくような感覚を覚えた。
幸平の家の前には、ときどき彼女が迎えに来ていた。
お祭りに行くのだろう。
浴衣姿で来ることもあった。
嬉しそうに笑う彼女と、どこかぎこちなく合わせる幸平。
2人で歩いていく背中を、私は自分の部屋のカーテンの隙間から、惨めな思いで見つめることしかできない。
夜、隣の部屋の明かりが消えるのを確認してからベランダに出て、手首の星のブレスレットを撫でる。
すぐ隣の部屋にいるのに、私たちは学校にいる時よりもずっと遠く離れてしまっていた。
やがて夏休みが明け、2人の間の歪みは意外なところから波紋を広げた。


