ギラギラとした太陽が突き刺さり、校庭から聞こえる蝉時雨が遠くで耳鳴りのように響く、夏休み直前の放課後。
5月の誕生日を過ぎてから、私と幸平の距離は縮まるどころか、さらに歪で不自然なものになっていた。
渡り廊下ですれ違うたび、幸平の半袖の制服から覗く手首や指先に光るものを見つけては、私の胸は冷たい針で刺されたような痛みを覚える。
彼女とお揃いのペアリング。
私が渡せなかった青いハンカチは、今も自室の引き出しの奥で、誰に見られることもなく冷たく眠っている。
(幼なじみなんだから、これでいいんだ)
照り返す日射しの中で、私は何度も自分に言い聞かせていた。
幸平には彼女がいて、私はただの''昔の幼なじみ''。
出しゃばらず、邪魔をせず、物分りのいい顔をして笑っていればいい。
そう思っていた。
けれど、私の決意を揺さぶる出来事は、夏の盛りの強い日差しの中で訪れた。


