世界で1番近い君と、1番遠い初恋


​その日の夜。

私と幸平の誕生日の真ん中の日。

自室のベランダに出ると、隣の神楽家の2階の窓から灯りが漏れていた。

​昔なら、ベランダ越しに
「幸平! お誕生日おめでとう!」
と叫んで、2人で夜空を見上げて笑い合っていた時間。

けれど今、その窓の向こうにいる幸平に、私は声をかけることすらできない。

​手首につけた星のブレスレットを指先でそっと撫でながら、私は夜空を見上げた。


​「……おめでとう、幸平」


​届くはずのない呟きが、冷たい夜風に消えていく。

​その頃、隣の部屋で幸平が、彼女からもらったプレゼントを机に置いたまま、一人で頭を抱えて静かに涙を流していたことなど、当時の私は知る由もなかった。