世界で1番近い君と、1番遠い初恋



​屋上で幸平から
「もうすぐ誕生日だな」
「なんか欲しいものあったら言えよ」
と言われてから、私の心はどこか落ち着かなかった。

​彼女がいる幸平の言葉に浮かれてはいけないと分かっていても、9年離れていても幸平が''3日違いの誕生日''を覚えていてくれた事実が、胸の奥をじんわりと温めていたのだ。


​(幸平は何をあげたら喜んでくれるかな……)


​私の誕生日の数日前。

放課後、私は一人で駅前のショッピングモールへ向かった。

メンズショップや雑貨屋を何軒も回り、幸平の顔を思い浮かべながら店内を歩き回る。

サッカーをやっている幸平なら汗を拭くハンカチが良いかもしれない、部活の移動時に使える落ち着いたデザインのタオルや、幸平の好きな青色のイニシャル入りハンカチはどうだろうか。

​店員に
「プレゼントですか?」
と聞かれ、少し照れながら
「はい、幼なじみの男の子に」
と答えて綺麗にラッピングしてもらう。

手に伝わる小さな紙袋の重みが愛おしく、私はそれだけで、9年ぶりに幸平と普通の高校生として笑い合えるような気がしていたのだ。