世界で1番近い君と、1番遠い初恋


​そして中学3年生の冬、お父さんから
「高校からはまた地元の家に戻れることになった」
と告げられた日、私は部屋で一人、声を上げて飛び跳ねるほど喜んだ。

​また、あの懐かしい家に戻れる。

幸平と同じ地元の高校に通えるかもしれない。

​他の誰からの告白もすべて断り続け、誰とも手を繋がず、誰にも心を許さずに守り抜いてきたこの一途な想い。

この想いを抱えて幸平の前に立てば、あの止まっていた夏の日から、また二人の物語が始まるのだと、私は何一つ疑わずに信じ込んでいた。


​あの頃の私は、まだ何も知らなかったのだ。

私が一人で大切に想いを温め続けていた数年間、離れた街で一人取り残された幸平が、どれほど深く恐ろしい暗闇の中で孤独に震えていたのかを。