『もう、好きじゃないことにした』

「あ、莉央!」

「……お疲れさま」

「待った?」

「ううん」

蓮は何も気づかず、いつものように私の隣に並んだ。

「じゃ、行こ」

「うん」

歩き始めた。


・

・

食事をしていても、いつもより静かだった。


さっきの光景が頭から離れず少しだけ口数が少なくなってしまった。

「……莉央?」

「ん?」

「なんか今日、静かじゃない?」

「そう?」

「うん」

「別に、普通だよ」

蓮が横目で莉央を見る。

「……その“別に”怪しい」

「怪しくないよ」

「じゃあ、何?」

「何もないって」

「ふーん」

蓮はそれ以上聞かなかった。

・

・

食事を終え、帰宅中




莉央の手にそっと蓮の手が触れる。

「……手、繋ぐ?」

「え?」

「今日まだ繋いでないから」

そう言って、指を絡める。

少しだけ安心した。

でも、さっき見た光景が頭から離れない。

・

・

帰宅後

「莉央」

「ん?」

「やっぱりなんかあるでしょ」

「……ないよ」

「ある」

「ないって」

「俺、莉央のこと結構わかるよ?」

その言葉に、莉央は黙った。

しばらくして、小さな声で言った。

「……今日、女の人と話してたでしょ」

「……ああ」

蓮は一瞬考えて、それから理解した。

「もしかして」

「……」