『もう、好きじゃないことにした』

その日は、蓮の仕事終わりにご飯を食べる約束をしていた。

待ち合わせ場所に着いた莉央は、少し離れたところから蓮の姿を見つけた。

「蓮……」

声をかけようとした、そのとき。

「蓮さん、お疲れさまです!」

蓮の会社の女性が、蓮のところへ駆け寄ってきた。

「お疲れ」

「今日、ありがとうございました! すごく助かりました」

「いや、俺は何もしてないよ」

「そんなことないですって!」

女性は楽しそうに笑っている。

蓮もいつものように、軽く笑いながら話していた。

ただ、それだけ。

本当に、それだけだった。

でも。

莉央の胸が、少しだけざわついた。

(……楽しそう)

自分といるときとは違う笑い方をしているような気がした。

もちろん、そんなことはない。

蓮は誰に対しても愛想がいい。

それも知っている。

だけど。

今日は、なぜか気になってしまった。

しばらくして女性が帰ると、蓮が莉央に気づいた。