『もう、好きじゃないことにした』

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蓮side



昼過ぎ。

お昼ご飯を食べて
莉央はベッドで眠っていた。

「……よかった。」


ちゃんと眠れていることに少し安心する。

莉央を起こさないように、ベッドの横に椅子を置く。

その上にノートパソコンを開いて、残っていた仕事を片付ける。


本当は会社で終わらせるつもりだったが、
いつの間にか体が動いていた。


莉央は、滅多に体調を崩さない。

だからこそ、「体調が悪い」と聞いたときは、
すごい心配になった。

仕事なんて、後からでもできる。


今は、莉央のそばにいることのほうが大事だった。

カタカタとキーボードを打つ音だけが、
静かな部屋に響く。

時々、莉央の様子を確認する。


頬に手を当ててみたり、
布団がずれていれば掛け直したり。


そんなことをしながら、仕事を進めていた。


すると――




「……ん」

莉央が小さく寝返りを打つ。


「……ゆうま……」

俺はすぐにパソコンから顔を上げた。

指が止まった。

「……え?」

莉央は眠ったまま、もう一度呟いた。

「……悠真……」

思考が停止する。


「…………」


数秒。

何も考えられない。

そして。

「……は?」

思わず小さな声が漏れた。

悠真。

聞き間違えるはずがない。

莉央の元彼か?

たしか以前、一度だけ見たことがある男。

「……悠真って」

眠っている莉央を見る。

「……元彼の名前?」

もちろん返事はない。

莉央を見つめる。


「……なんで今?」

嫉妬。

した。



ていうか、

めちゃくちゃする。

けれど、莉央は熱を出して寝ている。

「……今、嫉妬してる場合じゃないだろ」

自分に言い聞かせる。

でも気になる。

めちゃくちゃ気になる。

「……夢にまで出てくるの?」

少し拗ねたように呟く。


莉央は何も知らずに眠っている。


思わずため息をついた。



「……俺、負けてる?」

当然、答えは返ってこない。


蓮side end