『もう、好きじゃないことにした』


それから。

蓮は、よく私が働いてるカフェに何度も足を運んだ。

仕事があるときも。

何もないときも。

でも、無理に会おうとはしなかった。

私の仕事が終わる時間に合わせて、
店内で待っている。


「また来たの?」

「うん」

「……暇なの?」

「莉央に会うためなら暇になる」

「なにそれ……」


呆れたように笑った。

でも、その笑顔を見るたびに、蓮は嬉しそうだった。

少しずつ。

本当に少しずつ。

二人の距離は戻っていった。

ある日、蓮に聞いた。

「……蓮は、どうしてここまでしてくれるの?」

「好きだから」

「……」

「それ以外ないよ」

「……私、まだ蓮のこと信じきれないよ」

「知ってる」

「また逃げるかもしれない」

「そのときは追いかける」

「……何回も?」

「何回でも」

莉央は少しだけ笑った。

「……本当に?」

「本当」

「疲れない?」

「疲れるかもしれない」

「え?」

「でも、莉央を諦めるほうがもっと無理」

私は俯いた。

「……ずるい」

「何が?」

「そういうこと言うの」

蓮は笑った。

「じゃあ、言わないほうがいい?」

「……言って」

小さな声。

蓮がこちらをじっと見つめる。

「うん」

「……好きって、言って」

「好きだよ」

即答だった。

「大好き」


私は泣きながら笑った。