『もう、好きじゃないことにした』



「……いた」

口から、震えるような声が漏れた。

目の前にいる。

ずっと探していた。

もう二度と会えないと思っていた。

何度夢に見たか分からない。

それなのに――

本当に、いた。

「……蓮?」

莉央も動けなかった。

手に持っていたトレーが、かすかに震えている。

俺は一歩だけ近づいた。

でも、それ以上は近づかなかった。

以前なら、迷わず抱きしめていたかもしれない。

けれど今の莉央がどんな気持ちなのか、分からない。

だから、ただ見つめる。

「……蓮、久しぶり」

震える声で笑いながら莉央が言う。


「うん」

笑おうとした。


でも、うまく笑えなかった。