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一方、莉央も同じ頃。
部屋の中でスマホを握っていた。
蓮からのメッセージ。
全部、見ていた。
返したくないわけじゃない。
むしろ。
返したい。
声も聞きたい。
会いたい。
抱きしめてほしい。
でも。
返信をすると、また期待してしまう。
「……ダメ」
私はスマホを胸に抱えた。
「また戻りたくなっちゃう」
蓮は待ってくれている。
ほんとは…
……追いかけてきて欲しい。
ぎゅっと抱き締めて、安心させて欲しい。
好きだよって言って満面の笑顔でこっちを見てくれる姿をずっと見ていたい。
……だからこそ。
自分が曖昧な態度を取るのは卑怯だと思った。
本当に離れるつもりなら。
少しずつ蓮から離れなければいけない。
そう思って。
返信を減らしていた。
でも。
毎晩、蓮からのメッセージを見るたびに胸が苦しくなった。
『ちゃんと食べた?』
『無理するなよ』
『おやすみ』
どれも優しい。
昔なら、
そんな言葉をもらえるだけで幸せだった。
今も。
幸せだった。
だから余計に苦しかった。
「……蓮」
誰に聞かせるでもなく、
ぽつりと名前を呟く。
「……会いたい、迎えに来て…よっ…」
言った瞬間。
涙がこぼれた。
誰にも届かない部屋で虚しく消えていった。
