蓮side
家を出てしばらく歩いたところで、蓮は大きく息を吐いた。
「……やば」
朝からずっと、緊張している。
本当なら、いつも通り莉央を抱きしめたかった。
キスだってしたかった。
けれど、今日はそれどころじゃなかった。
ポケットの中に入れた小さな箱。
その存在を意識するたび、心臓がうるさくなる。
「……俺、こんな緊張するんだな」
自分でも少し笑ってしまう。
仕事に行けば気が紛れると思っていた。
でも、全然そんなことはなかった。
仕事中も、何度も時計を確認してしまう。
今日の夜。
莉央に伝える。
ずっと前から決めていた。
莉央は、きっと忘れてるが
今日は、俺たちが初めて出会った日だ。
まあ、無理もない。
俺たちにとっては、まだ何でもなかった頃のことだから。
まさか、あの日出会った可愛い子に、
今日プロポーズすることになるなんて。
いつか、ちゃんと莉央に言おうとプロポーズしようと。
一度離れてしまったからこそ、これから先は、何があっても莉央と一緒に進みたい。
だから、今日。
二人が初めて出会った、あの場所で。
「……絶対、ちゃんと伝えよう」
ポケットの上から、指輪の箱をそっと押さえる。
蓮side end

