『もう、好きじゃないことにした』



いつからだったんだろう。

最初は。

ただ、かっこいい人だと思った。

でも、チャラそうで。

だけど、話してみたら気さくで。

一緒にいると楽しくて。

気づけば、大学で蓮を探していた。

連絡が来ると嬉しかった。

会えないと、少し寂しかった。

他の女の子と話していると、胸がざわついた。

そして今日。

泣いている私の隣に、蓮がいてくれた。

何も聞かずに、ただ話を聞いてくれた。

私の味方だと言ってくれた。

――その時、ようやく分かった。

「……私、蓮のこと……好きなのかも」

口にしてみると、胸がいっぱいになった。

きっと私は、一目惚れなんかじゃなかった。

少しずつ。

本当に少しずつ。

蓮のことを知っていくうちに。

蓮と一緒にいる時間が増えていくうちに。

いつの間にか――。

私は、蓮のことを好きになっていた。

一方で。

蓮はまだ知らない。

この日、私の中で何かが変わったことを。

・

・

そして――

二人が初めて出会った、あの雨の日。

蓮はまだ、自分でも気づいていなかった。

あの日、莉央を見た瞬間から、
もう特別な存在として心に残っていたことを。

一目惚れなんて、そんな言葉では片づけられないくらいに。

けれど、そのときの蓮は知らなかった。

あの日、自分の中に生まれた気持ちが、
これから先、ずっと莉央だけを追い続けることになるなんて。

二人の恋は。

同じ日には、始まらなかった。