「……莉央?」
聞き慣れた声がした。
顔を上げる。
そこに、蓮がいた。
「……蓮」
「どうした?」
「……なんでもない」
慌てて涙を拭う。
「大丈夫」
「いや」
蓮が少し困ったように私を見る。
「大丈夫じゃないだろ」
その言葉を聞いた瞬間。
また涙が溢れた。
「……ごめん」
「なんで謝るの?」
「……分かんない」
蓮は何も言わず、莉央の側へ歩み寄る。
「話したくなかったら、話さなくていいよ」
「……」
「でも、俺でよかったら聞くから」
その声が優しくて。
ずっと我慢していたものが、少しずつ崩れていった。

